こんにちは。きりんごです。

このブログでは、大企業OLから、退職後迷走期間を経て、旧帝大の文系大学院修士に合格したきりんごが、
社会人からの文系大学院進学を目指す方に向けて情報発信しています。
社会人が大学院進学を考える際、一番悩むのが、仕事を続けるかどうか、ということではないでしょうか。
今回は、仕事と大学院について解説していきたいと思います!
※以下の解説における大学院とは主に修士課程を指します。
この記事は、
- 社会人からの大学院進学を検討している方
- 仕事と学業の両立ができるか不安な方
に向けたものです。
私が人文学系の修士課程に在籍しているため、人文学系中心の内容になっていますが、それ以外の分野の方もぜひ参考にしてみてください。
今回の記事でわかること
- 仕事と大学院を両立する方法
- 両立のために活用したい制度
- 制度それぞれのメリット・デメリット
大学院進学に向けての対策についても解説していますので、参考にしてみてください!
仕事と学業の両立は可能?
仕事と学業どちらに比重を置くかということが、問題になってくると思います。
結論からいうと、人文学系の分野に関しては、週5日フルタイムで会社勤めしながら、大学院に普通に通うのは難しい!というのが正直なところです。
理由について以下で解説していきます。
人文学系はなぜ仕事との両立が難しい?
人文学系の大学院と仕事の両立が難しい最大の理由は、土日開講、通信制など社会人向けのカリキュラムを提供している大学院が少ないからです。
近年、文部科学省を中心にリカレント教育が推進されていますが、
残念ながら、人文学系の大学院は社会人からの進学が少なく、フルタイム勤務の仕事との両立を前提としていないところがほとんどです。
もし、あなたが週5日フルタイムで働いている会社員であるなら、働きながら社会人向けのカリキュラムがない大学院に通うには、下記のようなハードルを越えなければなりません。
- 平日の日中にある講義を2年間で30単位程度取得する必要がある
- 論文作成のため仕事以外の休日は基本的に研究に充てる必要がある
- 学会などへの参加で土日は潰れる可能性がある
- キャリアに直接結びつきづらいため、会社からの理解が得られにくい
- 大学側も社会人を受け入れた経験が乏しく、社会人への配慮が少ない可能性がある
MBAコースなど、キャリアと直結するような分野に比べると、文学・哲学・歴史などの人文学分野は、まだまだ社会人を対象とした教育制度は不足していると言わざるを得ません。
仕事をしながら大学院に通う方法
働いている方は、今の仕事を辞めたくないという思いは当然あると思います。
それでも大学院に通いたい場合、どうすればいいでしょうか。
具体的に場合分けして、社会人が大学院に通う方法を考えてみましょう。
仕事に比重を置く場合
科目履修制度
大学院は、研究をする場なので、論文を書くということが1つの目標になってきます。
しかし、研究ではなく、「学びなおし」を目的とするのなら、科目履修生制度を活用するという方法があります。
科目履修生とは、大学に正規入学せず、学びたい科目だけを履修できる制度です。
大学によっては1科目単位から履修できるので、仕事への影響を抑えながら学ぶことができます。
現在、多くの大学で採用されています。(参考:「科目等履修制度の開設大学一覧」大学改革支援・学位授与機構HP)
しかし、実習など、一部履修できない科目もあるというデメリットもありますので、注意してください。
通信制の大学院
数は少ないですが、通信制で人文学系の分野を学べる大学院もあります。
こちらは、正規での入学になるので、科目履修生より体系的に学ぶことができますし、学位の取得も可能です。
デメリットとしては選択肢が少ないことでしょう。
現在、人文学系の分野で通信制の大学院を設置している大学は、ごくわずかです。
自分のやりたい研究がある場合、その分野の指導教官がいるかどうかは事前に確認しておきましょう。
また、映像授業が中心となるため、モチベーション管理が難しい点も挙げられます。
学業に比重を置く場合
腰を据えて研究をしたいということであれば、正規学生となって通学することをおすすめします。
正規の学生となって通学することの最大のメリットは、研究に集中できる環境に身を置けるということだと思います。
また、一流の研究者とリアルタイムでやりとりができること、同じ興味関心を持った学生と交流できることもメリットでしょう。
働き方を見直してみる
上記にも挙げたように、週5日、平日会社に勤めながら通学するというのは、有給の取得などにかなり理解のある会社でないと厳しいと思います。
ですので、社会人の正規学生は、1度仕事をセーブして学業に集中する環境を作って通われている方が多い印象です。
実際に私も現在は、在宅でできるライティングなどの仕事だけにセーブしています。
学業に比重を置きながら、仕事もそこそこに続けたい!という場合は、働き方を見直してみましょう。
大学院は学部生より授業のコマ数が少ないので、時間や場所の融通が効くのであれば、授業の空きコマを使って仕事をするという方法も取れます。
仕事と学業の両立に悩んだら、キャリアコーチングサービスを利用してみるのも1つの手です。
転職をゴールとしないため、現在の仕事を続けながら、やりたいことを実現する方法を一緒に考えることができるかと思います。

仕事も学業も両方頑張りたい人は・・・
仕事も学業もフルで頑張りたい!という方は、長期履修制度を利用できるかどうか、を検討してみましょう。
長期履修制度
長期履修制度とは、文部科学省の定義によると、下記のような制度です。
学生が個人の事情に応じて柔軟に修業年限を超えて履修し学位等を取得する仕組み
(中略)
通常の修業年限で卒業・修了することを予定していたものの,在学中に起きた何らかの事情で勉学意欲がありながら予定していた学習が困難となった学生が,留年,休学,退学をすることなく,学習を継続することも可能となると考えられる。
文部科学省:大学等における社会人受入れの推進方策について(答申)
通常、2年分の授業料で在籍できるのは2年間だけですが、制度適用が大学に認められれば、2年分の授業料で3年間在籍することができるようになります。
通学できない場合、休学すればいいのでは、と思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、休学をしてしまうと、授業をとることができなかったり、図書館など学内設備の利用に制限がかかったりと、学業を中断することになり本末転倒になってしまいます。
そのため、仕事と学業の両立という観点では、良い選択肢とはいえません。
長期履修制度を使えば、修業年限を延長できるため、週1日しか通学できなくても3年間かければ、修士課程での必要単位をなんとか取り切れるでしょう。
また、この制度は仕事との両立だけでなく、育児、介護などの事由でも適用される場合があります。
詳細は進学を希望する大学院に問い合わせてみてください。
ただし、いずれにせよ、土日など、仕事のない日に研究を進めていく必要があるので、相当な体力と気力と勤め先の協力が必要であるということは念頭に入れておくべきでしょう。
まとめ
今回解説した制度それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット | |
科目履修制度 | ・学びたい科目だけ学べる ・大学図書館などの施設が使える | ・履修できない科目など制限がある ・学位は取得できない |
通信制大学院 | ・フルタイム勤務との両立がしやすい ・学位が取得できる | ・モチベーション維持が難しい ・人文学系は選択肢が少ない |
長期履修制度 | ・修業年限を延長して通学することができる ・学位が取得できる | ・フルタイム勤務と両立したい場合、勤め先の協力が必要 |
文部科学省はリカレント教育を推進しているものの、人文学分野では大学院と仕事の両立はまだまだ障害が多いのが現状です。
しかし、ハードではあるものの工夫次第では仕事と学業の両立は十分可能だと思います。
大学院進学を考えている方はぜひ参考にしてみてください!
以上、きりんごでした。